小説(頁)

みらきみ1

頬杖をついて、誰もいなくなった教壇をまだ眺めていた。片桐の泣き顔を見たときの、あの感覚は何だったんだろう?懐かしいような、切ないような、遠い昔に忘れてしまった感情が呼び起こされるような感覚。
今日の俺は少し変かもしれない。突然現れた異分子に…

みらきみ序

俺はきっと、何か大切なものを忘れている。何となく、ずっとそんな得体の知れない喪失感を抱えながら生きてきた。そう思うのは、ずっと俺の心の中に残っている、初恋の子の記憶のせいだ。5つか6つくらいの時だっただろうか。俺には、好きな子がいた。一緒に…